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アウトドア用品のリペア職人になろう! ギアエイド使い方講座 No.4 ~シルナイロン編/シルナイロンパッチ、シームグリップ+SIL(シリコンシーラント)&メッシュパッチ~

 

 アウトドアギアに使われる生地には、ナイロンやポリエステルなどさまざまな種類があり、そのひとつにシルナイロンがあります。シルナイロンとは、シリコンを染み込ませたナイロン生地のこと。高い防水性を備えているのが特徴で、テントやタープ、ポンチョなど、多くの製品に使われています。

 

 ただし弱点もあり、シルナイロンに染み込んでいるシリコンには”ものがくっつきにくい”という性質(非粘着性、離型性)があることが知られています。そのためアクシデントで生じた穴や破けを修理するために、一般的なウレタンベースの接着剤を使った補修テープを貼り付けても、簡単に剥がれてしまい傷口を補修することができないのです。

 

 そこで必要になるのが、シリコンにも粘着するシリコンベースの接着剤を使用した補修テープや接着性シーム剤の存在です。今回紹介する商品がまさにそれで、ギアエイドからリリースされた新製品の補修テープ「シルナイロンパッチ」と、従来から販売されている接着性シーム剤「シームグリップ+SIL(シリコンシーラント)」になります。

 

傷口をふさぐ補修テープ「シルナイロンパッチ」

 

 まずは補修テープにあたるシルナイロンパッチから紹介しましょう。内容は、7.6×12.7cmサイズのシリコン処理された40Dリップストップナイロンが2枚入っています。もちろん接着面に使われていのはシリコンベースの接着剤です。

 

 

 使い方はいたって簡単で、傷口を覆う大きさにカットしてから、表面の汚れを落として乾燥させた生地に接着するだけ。生地とテープの間に空気が残らないようにするのと、剥がれにくくするためにカットしたシルナイロンパッチの角を丸く切り落とすのがポイントです。

 

ハサミなどで四隅を丸く切り取ります

 

 と、このままカタログ通りの説明で終わらせることもできるのですが、それではレポート記事の意味がない。

 

 そこで注目したのが、前置きで書いた「一般的なウレタンベースの接着剤を使った補修テープを貼り付けても、簡単に剥がれてしまい傷口を補修することができない」というシルナイロンの弱点についてです。果たしてこれは本当なのでしょうか。知識としては知っていますが実際に確かめたことはありません。そこで今回はこの大前提について調べてみました。

 

 用意したのは、30Dシルナイロンと、70Dリップストップナイロン。こちらの生地にそれぞれ、シルナイロンパッチと、一般的な補修テープとしてテネシアスリペアテープのクリアを貼り、テネシアスリペアテープが完全に硬化する24時間後に洗濯機で洗ってみました。

 

 

テスト内容
・ドラム式洗濯機を使用
・自動洗濯コース(洗濯、すすぎ、脱水。約45分)。
・洗剤にはギアエイドのプロクリーナーを使用
・チノパン1枚、Tシャツ1枚、フェイスタオル2枚を一緒に洗濯

 

 洗濯終了後、それぞれ生地を取り出して確認した結果がこちらです。

 

 

 70 Dリップストップナイロンには両方のテープが残った一方、30Dシルナイロンにはシルナイロンパッチだけが残り、テネシアスリペテープは剥がれてなくなってしまいました。

 ちなみに貼り付けてからさらに放置して、1週間後にも同様に洗濯してみたのですが、こちらも結果は変わりませんでした。

 

 これでシルナイロンに一般の補修テープが使えないことは明確になったのですが、両方の生地にシルナイロンパッチが貼り付いているのを目の当たりにすると、今度は逆にテネシアスリペアテープの存在に疑問を感じてしまいます。例えばシルナイロンパッチさえ用意すれば良いのではないでしょうか?

 

 しかしこれは、リップストップナイロンに貼り付いたテープをそれぞれ剥がしてみると、簡単にその疑問は融解しました。シルナイロンパッチよりもテネシアスリペアテープの方が、より強固に貼り付いていることが指先に伝わってくるのです。この貼り付き具合を耐久性という言葉に置き換えるなら、シルナイロンパッチの耐久性は低く、テネシアスリペアテープのほうが耐久性が高いと言えます。

 

 さらにテネシアスリペアテープのほうが安価で内容のサイズも大きいので、やはりシルナイロンパッチはシルナイロン専用の補修テープとして使うのが利口と言えるでしょう。

 

目止め処理ができる接着性シーム剤「シームグリップ+SIL(シリコンシーラント)」

 

 

 シルナイロンパッチが傷口の補修テープなのに対して、シームグリップ+SILは目止め処理に特化したリペアアイテムです。主にシルナイロンで作られたテントやタープなどの縫い目の防水性を高めたいときに使用します。

 

 こちらも使い方は簡単で、チューブに穴を開けてから生地に適量をたらし、付属の刷毛で縫い目に沿って塗っていきます。シーム剤はサラッとした液体に近いので、スーッとのばすことが可能です。塗り終わったら6時間ほど放置させると完全に硬化します。

 

絵の具のような感覚で塗ることができます

 

 目止め処理だけでなく、穴あけや裂け目も補修可能で、その際にはセロテープなどで補修箇所を裏打ちしてからシームグリップ+SILを塗ります。

 

 ギアエイドには「シームグリップ+WP(ウォータープルーフ)」というウレタンベースの接着性シーム剤も存在しますが、こちらはシルナイロンに使用できません。逆にシームグリップ+SILなら、ナイロンやポリエステルなど多くの生地に使えますが、やはり貼り付きの耐久性はシームグリップ+WPの方が上。ウォータープルーフ+SILは、やはりシルナイロン専用と考えるといいでしょう。

 

メッシュ生地の穴あきを防ぐ「メッシュパッチ」

 

 最後にもうひとつギアエイドからリリースされた新製品を紹介しましょう。「メッシュパッチ 」です。

 

 円形のメッシュパネルが2枚入っており、周囲は接着テープになっています。実はメッシュパネルを補修する商品は、いままでありませんでした。なかなか特殊なリペアアイテムになるのですが、テントには必ずメッシュパネルがありますし、なかには虫よけネットを頻繁に使っている人もいるでしょう。

 

もちろん目の細かいメッシュでできています

 

 使い方は穴あきを覆うように貼り付けるだけ。メッシュの穴あきは致命的なダメージですが、これさえあれば簡単に補修可能です。

 

使い方はシールのようにペタッと貼り付けるだけ

 

 素材に応じて最適なリペアアイテムを選び、大切な装備を一日でも長く愛用しましょう。

・シルナイロンパッチ

・シームグリップ+SIL(シリコンシーラント)

・メッシュパッチ

山岳ライター:吉澤英晃

山岳ライター吉澤英晃が、アイテムを実際に使ってみてレポートする連載企画。
登山からキャンプギアまで様々なアイテムの使用感や特徴を紹介していきます。(構成・文:吉澤英晃)

【自己紹介】
大学の探検サークルに入部したのことをきっかけに登山を開始。
社会人山岳会に所属し、夏は沢登り、冬は雪稜からバックカントリーまで、一年中山で遊んでいる。
登山用品の営業職を経験した後、現在はフリーライターとして活動中。